命の選別にあたるの?着床スクリーニングの現在

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体外受精した受精卵にある全染色体の数の異常を調べ、正常な受精卵を選ぶ「着床前スクリーニング」を実施している不妊治療専門の産婦人科医院「大谷レディスクリニック」(神戸市中央区)の大谷徹郎院長は28日、新たな技術を導入した結果、妊娠率が約6割から約7割に向上した、と発表した。
参考ページ神戸新聞:https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201603/0008936924.shtml

これって難しい問題ですよね。

いわゆる着床前スクリーニングという問題ですが、体外受精で子供を望む方にとっては重要な問題です。

このページでは着床前スクリーニングとはいったい何か?命を選別するという倫理上の問題点や、スクリーニングを行うことでどのように妊娠率が向上するのか?ということを紹介したいと思います。

着床前スクリーニングとは

着床前スクリーニング(PSG)とは、体外受精を行った受精卵を対象に染色体や遺伝子に異常がないかを調べて流産の確立を下げようという技術です。

着床前遺伝子診断(PGD)という同じような技術を用いた診断もありますが、診断目的が異なります。
着床前遺伝子診断では家系にある特定遺伝疾患を次世代に受け継がせないことを目的に行われるものです。

また染色体異常の受精卵は流産率がとても高く、反復流産にもつながってしまいますが、着床前遺伝子診断はこの反復流産(習慣流産も含みます)に対しても適応されます。

着床前スクリーニングは染色体全ての異常を調べて、正常な受精卵だけを体内に戻すことで流産率を下げる目的で行われます。

このとき全ての染色体を調べることで赤ちゃんが男の子か女の子かを判別することもできますが、産み分けを目的でスクリーニングを行っている病院は現時点で日本にはありません。

どのような理由で使われるのか??

着床前スクリーニングを行うことで染色体に以上がある受精卵は排除されてしまいます。

染色体に異常がある卵子は流産をする可能性が非常に高く、流産を繰り返すことで子宮が癒着してしまうなど、流産の可能性が上がってしまいます。

そうならないために、あらかじめ流産をするリスクを減らすためにスクリーニングを行うことが目的です。

しかし、このスクリーニングには倫理的な問題もあります。

というのも染色体に異常があって生まれた子供はダウン症といわれる障害を持ちます。スクリーニングすることでダウン症の子供が生まれる可能性は低くなりますが、ダウン症という障害にたいする差別意識を植え付けたり、そもそも命を選別するのはどうか??

という意見があって、現在日本では日本産科婦人科学会が公に着床前スクリーニングを認めていません。

着床前診断の費用はいくらぐらいかかるの?

着床前診断は新しい技術ですので、健康保険の対象外になっていますので全て自費での受診となります。

大谷レディースクリニック公式HPによると、体外受精の費用とは別途かかってきて、受精卵の数にもよりますが12万円~70万円程度の費用がかかるとのことです。

海外の費用面ではアメリカでは特に、規制をする法律もなく着床前診断についても行われています。

アメリカであれば男女の産み分けを目的とした着床前診断も行うことができますが、費用としては約450~500万円程度かかります。
また採卵や移植をするのに長期滞在をする必要があり、トータルコストではもっと費用がかかるものとなります。

着床前スクリーニングまとめ

命の選別という意味では賛否両論ある技術ですが、妊娠から流産を繰り返してしまう女性の精神的な負担、肉体的な負担は計り知れません。
母体を保護するという意味では、とても良い技術なので、今後どのように日本では取り扱いが進むのかは注目です。