妊婦に必要な栄養素

胎児の成長には葉酸は欠かせませんが、葉酸だけ摂取していればいいということはありません。
お腹の赤ちゃんの健全な成長のためバランスよく様々な栄養素を摂取しましょう。

妊娠中に摂取すべきビタミン類

妊娠中には多くのビタミンが必要になりますが、摂取する際に注意が必要なビタミンもあります。
必要なビタミンの摂取法や必要摂取量を紹介します。

ビタミンCが必要な理由

ビタミンCには、皮膚、骨、血管を強くしたり免疫力を高める働きがあり身体には必要な栄養素です。
そのほか、鉄分の吸収を助けてくれるのがビタミンCです。

妊娠期は母体の鉄分が胎児へと優先されて送られるため鉄欠乏症貧血に陥りやすいものです。
そのため鉄分の摂取も必要となりますがその際にビタミンCとともに摂取すると鉄分が身体に吸収されやすくなります。

胎児の形成においてビタミンCの摂取不足は、脳の海馬発達不足を招く可能性があるといわれます。
海馬の発達不足は、赤ちゃんに記憶力低下障害となって現れます。

妊娠時、ビタミンCの1日必要摂取量は110mgとなっていますので母体や胎児へのリスクを回避するため葉酸と共にビタミンCの摂取にも気を配りましょう。

ビタミンB6が必要な理由

ビタミンB6は、肌のタンパク質の代謝を助ける働きや皮膚や粘膜のバリア機能を高め丈夫にする働きを持った栄養素です。

妊娠中においては、つわりの原因とされるアミノ酸の代謝不良を整える働きがあるとされ、つわり予防に用いられます。

つわりのひどい妊婦への点滴の中にビタミンB6が含まれており、ビタミンB6の投与は投与しなかった妊婦よりもつわりからの回復が早いというデータの発表もあります。

2015年9月に米国産婦人科学会がつわりの治療についてのガイドラインを11年ぶりに更新し、継続的な重いつわりの第一治療として、ビタミンB6と日本では未承認である抗ヒスタミン薬ドキシラミンを推奨しています。

妊娠時、ビタミンB6の1日必要摂取量は1.4mgとなっており、一度に大量摂取することは神経障害を引き起こす可能性があるため上限は45mgとなっています。

ビタミンB12が必要な理由

ビタミンB12は、赤血球中のヘモグロビンの合成に重要な役割を果たし、血液細胞を健康に保つ働きや神経細胞の働きを正常に保つことに関係しています。

葉酸はビタミンB12とともに赤血球のもとである赤芽球の合成に作用し、互いに補い合う関係であるためどちらかが欠けてもいけません。
葉酸とビタミンB12のバランスが崩れると、赤血球に異常をきたし普通より大きな赤血球が作られてしまい通常の働きができず貧血症状を起こすのです。

このような貧血を巨赤芽球性貧血といいます。

妊娠時、ビタミンB12の1日必要摂取量は2.8μgとなっています。
ビタミンB12を過剰摂取しても必要のない分は尿となって排泄されるため、過剰摂取からのリスクはありません。

ビタミンDが必要な理由

ビタミンDは、血中のカルシウムの調節を促し、骨や歯を作る重要な働きを担っています。
そしてまた、胎児の骨や歯を作るためにも必要とされます。

生まれた赤ちゃんには歯はありませんが、これから生えてくる歯のために赤ちゃんがお腹にいる頃からビタミンDの摂取が大切になります
妊娠期以外であっても、ビタミンDが欠乏すると骨の形成異常を起こし、小児期に発症したものをくる病と呼び、成人期に発症したものを骨軟化症と呼びます。

妊娠時、ビタミンDの1日必要摂取量は7.0μgとなっています。

ビタミンDを過剰摂取することは、血中のカルシウム濃度が高くなり高カルシウム血症や腎機能障害、胎児の歯牙形成の異常を引き起こす可能性がありますので上限は100μgとなっています

妊娠中に摂取すべき鉄分・カルシウム・亜鉛

妊娠中は、母体の鉄分、カルシウム、亜鉛という栄養素はお腹の赤ちゃんに優先に送られます。
そのためこれらの栄養素は不足がちになるものです。

鉄分、カルシウム、亜鉛が不足すると母体や胎児にはどのような影響があるのでしょうか。
妊婦にとって1日に必要な摂取量はどのくらいなのかを解説いたします。

鉄分が必要な理由

妊娠中は、胎児の成長のために母体から多くの鉄分が胎児に送られます。

母体に鉄分が足りなくなり鉄欠乏症貧血に陥ることが少なくありません。

妊娠中に起こるこのような貧血を妊婦貧血ともいいます。

鉄不足に陥ると全身に酸素を送るヘモグロビンの量が減ってしまい、全身に酸素が行き渡らず倦怠感、疲労感などの貧血症状を起こすのです。

そして心臓が身体の酸素不足を補おうとして活動的になるため動悸や息切れ、めまいが起こってきます。

母体に酸素が行き渡らない状態というのは、胎児にも酸素が行き渡らない状態ということです。
そうなると胎児の成長に悪影響を与えてしまい、虚弱児や未熟児になる可能性があります。

妊娠後期になると、血液量が増えてきますがヘモグロビンの量は増えることがないため血液は薄くなり貧血が起こりやすい状態になります。

貧血が重いものであれば、出産の際胎盤が剥離した箇所の出血が止まらなくなる弛緩出血(しかんしゅっけつ)を起こす可能性も・・・。

分娩時には微弱陣痛になることも多く、それによって難産となる危険性もあります。

また、母体の抵抗力は下がり産褥熱にかかりやすいので注意が必要ですね。

このようなリスクを回避するため意識的に鉄分の摂取を心掛けましょう。

成人女性の約6割が鉄分不足といわれていますから、妊娠期に限らず積極的に鉄分の摂取をおすすめします。

非妊娠時における鉄分の1日必要摂取量は12mgとなっています。
妊娠時における鉄分の1日必要摂取量は20mgであり、非妊娠時の1.7倍です。

カルシウムが必要な理由

妊娠時は、胎児の骨や歯の形成のため母体からのカルシウムが必要です。

血液中のカルシウム濃度というのは一定に調節されています。

母体の血液中のカルシウムが足りなくなってくると、母体の骨や歯に蓄積されているカルシウムが使われてしまうので、母体の骨密度はどんどん低下してしまいます。

その結果、出産後歯がもろくなっってしまったり、イライラしやすいなどの症状や、肩こりや腰痛につながる可能性があります。

また、血液の状態が悪くなりそれに伴い血行も悪くなってしまうため、高血圧になりやすいです。
妊娠中に高血圧になることを、妊娠高血圧症といいます。

このようなリスクを回避するため妊娠時には多くのカルシウムが必要なのです。

非妊娠時におけるカルシウムの1日必要摂取量は600mgとなっています。
妊娠時におけるカルシウムの1日必要摂取量は900mgであり、非妊娠時の1.5倍です。

亜鉛が必要な理由

亜鉛は、体内の酵素300種類以上の成分に含まれている栄養素です。

亜鉛は、胎児の細胞分裂を促し、骨や皮膚の発育を助け免疫力を高めます。
妊娠中は、胎児の成長のため女性ホルモンであるエストロゲンが大量に必要です。

亜鉛はエストロゲンの分泌を促す働きを持っていますから、亜鉛不足は女性ホルモンと関係する自律神経を乱したり、つわりの原因となったり、イライラや不安感などの症状となって現れます。

他にも亜鉛不足は味覚異常となって現れ、食事が消極的になってしまうことにつながります。
食事からの栄養が滞ると胎児の成長にも影響を与えてしまいます。

お腹の赤ちゃんは妊娠28週を過ぎると母体からの亜鉛吸収が盛んとなりますのでこの時期も重要ですね。
妊娠時、亜鉛の1日必要摂取量は13mgとなっています。

つわりで食べられない時はサプリメントで摂取できます

妊娠中のつわりとは、吐きつわりや食べつわり、よだれつわり、眠りつわりなどがありますがどれもつらいですよね。

吐きつわりは、妊婦にいちばん多く食べ物のにおいを嗅ぐだけで吐き気をもよおし、食べることもできず一日中気持ちの悪い状態です。

食べつわりは、空腹になると気持ちが悪くなるため何かしら口にしていないと気持ち悪さが解消しない状態が続きます。

よだれつわりは、口の中に通常よりも多くの唾液が溜まる症状で日常生活に支障が出るほどになるというものです。
唾液の飲み込み過ぎによって嘔吐するほど気持ちが悪くなる場合もあります。

眠りつわりとは、眠っても眠っても眠気が取れずだるいといったつわりです。
食事ができないほどのつらいつわりの中、母体や胎児の成長のために栄養素を摂るには食事からの経口摂取には無理があります。

そのような場合は、サプリメントを利用して栄養素の不足が起こらないようにしましょう。
前述しましたようにビタミンB6はつわりの緩和にも用いられる栄養素ですのでぜひ取り入れて下さい。

サプリメントでの栄養素摂取の際は、必要摂取量を必ず守って摂取してくださいね。