妊活前にはトキソプラズマ抗体検査を受診しましょう!
トキソプラズマってご存知ですか??
トキソプラズマは主にネコの糞を媒介して感染する寄生虫のようなものです。
健康な大人が感染しても、症状は出なかったり出たとしても、軽い風邪のような症状に留まります。
妊娠中はガーデニングを避けたり、砂場を避けたりしたほうが良いといわれるぐらい要注意な感染症です。
そこまで症状が重くないのに、検査を受けたほうが良い理由はなぜなんでしょう?
それは「先天性トキソプラズマ症」の存在です。
お母さんが感染している場合、なんと胎盤を通じてお腹の中の赤ちゃんが感染してしまう場合があるんです。
健康な大人の場合は、症状が重くなることはごく稀ですが、まだ成長途中のお腹の中の赤ちゃんとなると別です。
後でも説明しますが、障害につながったり、発育不全となったり、怖い症状がたくさんあります。
先天性トキソプラズマ症は妊娠中に、お母さんが初めてトキソプラズマ症にかかってしまった場合に感染してしまいます。
なので、すでにトキソプラズマ症にかかっているお母さん(トキソプラズマ抗体がある)は特に心配する必要がなく、まだ抗体がないお母さんだけの心配事なんです。
ぜひ検査を受けていただいて、先天性トキソプラズマ症のリスクがあるのかないのかを事前に知っておいてください。
また、リスクがある場合は、どのように予防するのか?も一緒に紹介しますので参考にしてくださいね。
Contents
トキソプラズマ抗体検査のいろは
トキソプラズマ検査を行っている産婦人科はだいたい半分ぐらいといわれています。
いつも行っている、もしくは行く予定のある病院に一度確認することをおすすめします。
検査の費用は保険が適応されませんので、自費となります。
でも、検査費用は簡単な血液検査になりますので1000円ほどで受けることができます。
1000円で赤ちゃんの命を守れると考えたら安いものではないでしょうか??
受ける時期は妊婦検診の時に受けることが多いですが、妊娠初期に母子感染すると重篤な症状に発展しやすいです。
できることなら、妊娠をすると決めたときに検査してしまうことをおすすめします。
トキソプラズマ検査の詳しいステップ
検査の内容ですが、PHAと呼ばれるスクリーニング検査が第一ステップとなります。
検査の結果によって、「PHA→IgM検査→IgG avility測定」のステップをとることになります。
それでは詳しく説明していきますね。
第一ステップのPHAです。
血液検査をしてトキソプラズマに感染している、もしくは感染したことがある場合陽性の反応がでます。
感染したことがない場合は陰性となっておりますので、今後トキソプラズマに感染しないように注意することが必要です。
妊娠前に陽性反応があった場合は、より詳しく検査するか妊娠する時期をずらすことで母子感染を防ぐことができます。
もし、妊娠後に陽性反応があった場合は「前に感染したことがある」のか「今感染しているのか」より詳しく調べる必要があります。
第二ステップのIgM測定結果で陰性の場合は前に感染したことがあるということで、安心しても大丈夫です。
ただし陽性になった場合でもまだ確定はできません。第三ステップのIgG avility測定が必要となります。
この値が低いと、前に感染したことがあることが確定できますが、高いと今現在、初感染している可能性が非常に濃厚です。
こうなってしまうと、母子感染を防ぐための治療が始まります。
妊娠中にお母さんが初めて感染してしまった場合の治療法!
妊娠中に初めてお母さんがトキソプラズマにかかってしまったことが検査で分かった場合、できるだけ早い段階で「アセチルスピラマイシン」という抗生物質を飲みます。
かかったかどうかまだはっきりしない段階でも、妊娠初期の母子感染を防ぐ目的で検査結果が確定していなくても飲む場合があります。
アセチルスピラマイシンは赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられています。
かつてはリスクが半減するといわれていましたが、残念ながら最近の結果では感染率は変わらず44%であることがわかっています。
ただし、合併症の発生リスクを30パーセントにまで下げ、さらに重症化することを14パーセントまで下げられることがわかりました。
参考:日本産科婦人科学会「7.周産期医療と児の中長期予後 1)母子感染」
妊娠中に赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症にかかってしまうとどうなるの??
これから妊娠初期~妊娠後期に先天性トキソプラズマ症に感染してしまった状況を説明しますが、脅す目的ではありません。
先天性トキソプラズマ症ってこんなに大変な症状なんだということを知っていただいて、予防することは難しくないものなのでぜひしっかり検査を受けて予防をしてくださることを願っています。
妊娠初期に感染した場合
トキソプラズマに伝染する確率は10%以下と低いのですが、うつってしまうと大変な状態になってしまいます。
妊娠初期は葉酸はなんで妊娠初期に大切なの?障害を防げるの?でも紹介していますが、神経管を作る大切な時期です。
妊娠初期にうつってしまうと、トキソプラズマが中枢神経を作るときに影響してしまい、頭の骨が作られなかったり、水頭症、大頭症、脳ができるスペースが異常に大きくなってしまうなどの症状を引き起こしてしまいます。
残念ながらほとんどの場合、流産や死産につながり、せっかく生まれても生後数か月の間になくなってしまいます・・・。
なんとか命を長らえても神経系の障害が残ってしまい、緊張や弛緩といった神経症が出てくることがほとんどです。
妊娠中期
妊娠周期16週以降では、すでに中枢神経系は出来上がっていて、内臓や消化器官を作っている時期です。
感染してしまうリスクとしては初期状態よりも高く、約20%といったところです。
感染リスクは高くなっていますが、初期よりも症状は緩やかになる傾向です。
この時期に感染すると黄疸や膵臓・肝臓が肥大してしまったり、粘膜から出血してしまうなど、内臓・消化器官への影響が出てきます。
妊娠後期
31週以降に伝染する確率は60~70パーセントとかなり高くなっていますが、症状としてはとても軽いものになっています。
症状が出ない場合もありますし(不顕性感染)、軽い症状で済む場合も多いです。
トキソプラズマの予防方法は??
これだけ怖いトキソプラズマですから、きちんとできる予防はしておきましょう。
ちゃんとした知識があれば、予防できるので心配しすぎないで予防することが大切です。
主な感染経路は生肉など、きちんと火の通っていない肉や猫の糞から感染する場合があります。
これらをきっちりシャットアウトしましょうね。
妊娠中の食事には要注意
妊娠中は食材にきちんと火を通すことが大事です。
また、生肉以外にも野菜についた土からも感染する可能性があります。
・調理する前はきちんと手を洗いましょう
・野菜や果物もきちんと洗いましょう
・調理器具はきちんと洗って清潔に
・肉類はきちんと加熱
・滅菌済みの牛乳を飲みましょう
妊娠中のガーデニング後はきちんと手洗いを
ガーデニングが趣味の方も感染する可能性があります。
猫の糞からの感染が一番怖いので、土いじりをするときはゴム手袋をするなど直接土に手を触れないようにしてください。
トキソプラズマは土の中でもおよそ18ヶ月の間は感染力があって塩素消毒も効きません。
なので、猫の糞が見えなくてもトキソプラズマがいる可能性があります。
できれば、飛んできた土が口に入ることも防ぎたいのでマスクもしておくとバッチリですね。
まとめ
トキソプラズマは感染していたのかどうかを確かめるのがとても大切。
あなた自身が感染リスクがあるのかを確認して、リスクがある場合はきちんと予防することが大切。
妊娠中はほかにも気を付けることばかりで気が滅入ってしまうかもしれません。
赤ちゃんの栄養状態をよくしてスクスク成長してもらうための葉酸サプリを飲んだり、育児グッズをそろえたり・・・。
トキソプラズマのように怖いリスクを予防していくことも大切ですが、それと同じぐらいリラックスすることが大切ですので、少しずつ正しい知識をつけていって、未来の明るい家庭を築いてくださいね。