胎児の無脳症とは

無脳症とは、神経学的奇形症の一種で妊娠初期の胎児の細胞分裂が盛んな時期に、胎児の神経管の一部が閉じずに正しく脊椎が形成されず脳の一部や大部分が欠損してしまう症状のことを指します。

また、脳が小さく萎縮している症状もあります。

無脳症は、神経管欠損症や無頭蓋症ともいわれます。

今回は無脳症の原因や葉酸を飲むことでリスクを低減できるという対策について紹介していきたいと思います。

原因にはどのようなものがあるか

無脳症の原因に確実なものがないというのが現状ですが、葉酸不足、妊娠中の喫煙・飲酒、また遺伝子異常からの影響があると言われています。

葉酸摂取不足

葉酸は、遺伝子情報であるDNA(デオキシリボ核酸)と体内でタンパク質を合成するRNA(リボ核酸)で構成される『核酸』を作る働きがあります。

DNAは、細胞の核の中にあるもので親から子、細胞から細胞へと性質を伝える遺伝子として働きます。
RNAは、DNAの情報に沿ってタンパク質を合成する働きをします。

私たちの生命活動を担っている核酸は、身体を構成している約60兆個の細胞の一つ一つに含まれているものです。
葉酸は、DNAが正常に複製や分裂をする過程において必要なタンパク質を作るためにも欠かせない栄養素です。

このような重要な働きを持つ葉酸が、胎児の細胞分裂が盛んな妊娠7週目までに不足していると、胎児に先天異常である神経管閉鎖障害を引き起こすリスクがあります。

胎児は、妊娠4週目頃には中枢神経のもととなる神経管が形成されはじめます。

まず神経板が形成され、管状の神経管に発達します。

その後、神経管は背中の中心から上と下に向かい閉じていき、最後は頭部側とでん部側が閉じられ骨と筋肉で覆われて形成されていくものです。

葉酸が不足していると、神経管が形成される過程に支障をきたし神経管の一部が閉じられず、その結果脊椎が飛び出したままになる場合があるのです。

これを二分脊椎症といいます。

二分脊椎症の場合、背中から下の神経管の閉鎖障害ですが、神経管の閉鎖障害が背中から上に起きると無脳症となって現れます。

1991年、7カ国参加のもと行われた臨床実験では、妊娠前後に葉酸を摂取すると胎児の二分脊椎のリスクが72%低下するという報告が発表されました。

そのようなことから日本では、2000年厚生労働省が妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月の期間は食事以外葉酸サプリで1日400μgの葉酸摂取を勧告しており、2002年からは葉酸について母子手帳にも記載されるようになっています。

妊娠中の喫煙・受動喫煙

喫煙すると身体にニコチンと一酸化炭素が増加してしまいます。
ニコチンは、即効性のある強い神経毒性を含むアルカロイドの一種である有毒物質です。

青酸カリよりも毒性が強く、殺虫成分としても用いられるということをまず知ってください。

喫煙によりニコチンは、血管収縮作用を引き起こします。。

そして一酸化炭素は、血中のヘモグロビンと結合し身体に酸素を取り込みにくくさせる作用を持ち合わせています。

妊娠中に喫煙し、このような作用が母体に働いてしまうと胎児はどうなってしまうのでしょうか??

母体の血管が収縮し血流が悪くなり、そのうえ酸素が行き渡っていないということは胎児も同じ状況に陥ってしまいます。

胎児が形成されるうえで母体からの血流や酸素が足りていないとなると胎児の形成に支障が出てしまいます。

無脳症の原因は、全てが解明されているわけではありませんが、妊婦が喫煙している場合の無脳症の発生率が高いというデータが出ています。

1日1本~9本の喫煙であっても、1000出産あたり無脳症発生頻度2.77±0.25人、1日10本以上の喫煙では1000出産あたり無脳症発生頻度3.05±0.3人というデータがあります。

また、受動喫煙によってもこのような支障が懸念されます。

受動喫煙とは、近くにいる人の喫煙によってタバコの先から出る煙いわゆる副流煙によって発生する有害物質を吸い込んでしまうことです。

副流煙に含まれる毒性はたばこのフィルターを経ていないため、喫煙者が肺に取り込む毒性よりも強いため、妊婦の近くで喫煙することや、妊婦さんが喫煙中に近寄ることはやめてくださいね。

妊娠中の飲酒

妊娠中に飲酒すると胎盤を通して胎児にもアルコールが運ばれてしまいます。

胎児も大人と同じように肝臓でアルコールを分解しますが、まだ未発達なのでアルコールの処理には時間を要してしまい胎児にはかなりの負担となってしまいます。

分解される間、胎児の体内にアルコールが残ってしまい、様々な悪影響が出るといわれます。

その一つに中枢神経系の異常であり、無脳症につながる可能性があるのです。

無脳症の他にも胎児の成長の遅れや容姿の異常となって現れる場合があります。

遺伝子異常

無脳症が発症する原因の一つに遺伝性疾患によるものが考えられます。

遺伝子疾患は遺伝子異常や染色体異常が原因のことがありますが、このうち次の世代へ遺伝してしまうものもあるといわれます。

そのほか、精子や卵子、形成途中の胎児の細胞にある遺伝物質がたまたま損傷を受けてしまい異常が起こることも考えられます。

また、胎児が薬や化学物質、X線などによって傷つき自然に異常を発症する場合も考えられます。

神経管欠損を持つ子供が生まれることは、家族に神経管欠損のある場合リスクが高くなるといわれます。

また、二分脊椎や無脳症を妊娠、出産した経験のある両親から再び同様の妊娠、出産になるリスクは2~3%となっていますが、神経管欠損の発症の約95%は、家族にそのような歴がありません。

胎児の無脳症はどうやってわかるの?

無脳症と診断するには早くて妊娠8週目からできるといわれています。
確実に診断がつくのは妊娠12週~妊娠15週である妊娠4ヶ月の頃です。

妊娠時、胎児の無脳症により羊水が多くなる羊水過多という症状が出ることがあります。

無脳症以外の原因でも見られる症状ですが、羊水が多すぎ一般的な大きさよりもお腹が大きくなり、圧迫感を感じます。

それに伴い息苦しさを感じることがあるようです。

また確実な検査をするためには羊水検査か血液検査をします。

それらの中のAFP(A-フェトプロテイン)という血清タンパクを測定して検査します。
エコー検査の結果と併せながら確実に胎児の無脳症が識別されます。

エコー検査では、妊娠10週頃には胎児の頭蓋骨の欠損によって頭囲が小さめなことが確認され靄がかかって映ります。

また、頭蓋骨の欠損によって脳が剥き出しておりハート形になっているのが特徴です。

これは妊娠12週以降である妊娠4ヶ月には確実に判別ができます。

まとめ

胎児の無脳症の原因は確実なものはありませんが、葉酸不足、妊婦の喫煙や受動喫煙、飲酒からは悪い影響があります。

特に葉酸は、胎児の形成には必要な栄養素であることは厚生労働省でも推奨していることですが、認識されていない方も多くおられます。

妊娠が分かった後だと、母子手帳や産婦人科などで葉酸を摂ることは認識できる場合がほとんどですが、意外と知らない人もいるのが妊活中の葉酸サプリの摂取です。

葉酸サプリも様々な商品がありますが、不必要に高額なもの、厚生省が推奨していないものなど様々です。

誤った情報にとらわれることなく正しい知識を身につけてくださいね。

葉酸サプリの正しい選び方を参考にしてみてください。正しくリスクを知って、賢く回避してあげましょうね。